量子科学技術のコミュニケーション

専門家が語る、教育現場における量子学習の未来

オーストラリア国立科学技術センター「クエスタコン」は、科学コミュニケーション分野における専門的知見を活かし、量子力学という複雑なテーマにわかりやすくアプローチします。

本ワークショップでは、有識者をパネリストに迎え、量子の概念をわかりやすく伝える上での課題を探ります。また、量子分野のイノベーターたちを含む次世代の科学技術人材をいかに巻き込んでいくかについても議論します。

本ワークショップの成果は、「国際量子科学技術年」にあたる2025年を通して行われる、各種プロジェクトの企画・実施に活用される予定です。

登壇者

ボビー・セリーニ博士
ボビー・セリーニ博士は、オーストラリア国立科学技術センター「クエスタコン」において、副所長兼サイエンス&ラーニング部門ゼネラルマネージャーを務めています。展示やプログラム、各種パートナーシップの創造的な方向性を主導し、推進しています。多様な分野でのSTEM(科学・技術・工学・数学)教育の取り組みにおけるリーダーとして豊富な経験を有し、アジア太平洋地域科学館協会(アスパック/ASPAC)の執行委員も務めています。
サイモン・デビット博士
Eigensystems社 共同設立者
Eigensystems社は、量子リテラシーの推進において先駆的な役割を担っており、革新的なツールと教育を通じて、量子コンピューティングへのアクセスの民主化に取り組んでいます。同社の主力製品「Quokka(クオッカ)」は、学生、教育者、そして愛好家のために設計された、デスクトップ型の量子コンピューター・エミュレーターです。
ピーター・ターナー教授
シドニー量子アカデミー〈SQA〉 最高経営責任者
シドニー量子アカデミーは、オーストラリアの量子経済の発展をビジョンに掲げています。学界、産業界、政府との連携を通じて、シドニーにおいて量子分野の専門知を結集し、多様な人材を育成するとともに、世界的に認知される量子エコシステムの構築を目指しています。
ハンス・バコー教授
バコー教授は、空間多重化された量子光通信システムを発明し、その実証に世界で初めて成功した人物です。この発見は、実用的な量子通信技術の工学的応用に向けた新たな道を切り開きました。
現在は、クエスタコンにおける物理学分野の「マインド・イン・レジデンス(招聘研究者)」として活動しています。
キャシー・フォーリー博士
物理学者であり、2021年1月から2024年12月まで第9代オーストラリア主席科学顧問を務めました。
フォーリー博士の卓越した科学的業績と影響力のあるリーダーシップは、数々の賞やフェローシップを通じて高く評価されています。博士の受賞歴には、研究科学への貢献および物理学分野における女性の地位向上への尽力が認められた功績として授与された、オーストラリア勲章も含まれます。
彼女は、世界中でSTEM分野における女性の参画を力強く推進しており、科学界における平等と多様性の促進に注力してきました。現在は、クエスタコンにおける量子分野の「マインド・イン・レジデンス(招聘研究者)」として活動しています。
クリス・フェリー博士
フェリー博士は、シドニー工科大学(UTS)量子ソフトウェア情報センターの上級講師です。彼の研究は、量子デバイスの特性評価および制御に機械学習を応用することに焦点を当てています。また、ベストセラー絵本『赤ちゃんのための量子物理学(Quantum Physics for Babies)』の著者としても知られています。
ビリアナ・ラジェヴィッチ博士
ラジェヴィッチ博士は、Quantum Brilliance社にて戦略・企業開発部門の責任者を務めています。同社は、量子コンピューティングを多様な分野で実用的かつ身近なものにすることを使命としています。
また、量子技術分野で活躍する女性のエンパワーメントと、より包摂的で多様性のある業界の構築を目指す専門家ネットワーク「Quantum Women」の共同設立者兼ディレクターでもあります。